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  1. 宗像市議会 2015-12-18
    宗像市:平成27年第4回定例会(第6日) 議事日程 開催日:2015年12月18日


    取得元: 宗像市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-08-31
    ▼最初のヒットへ(全 0 ヒット) ◎ 議 事 日 程(第6号) 追加日程   第118号議案 平成27年度宗像市一般会計補正予算(第4号)について 日程第 1  第 99号議案 宗像市個人番号の利用に関する条例の制定について 日程第 2  第100号議案 宗像市資産等報告条例の一部を改正する条例について 日程第 3  第101号議案 宗像市議会の議員その他非常勤の職員の公務災害補償等に関する条例の                一部を改正する条例について 日程第 4  第102号議案 宗像市附属機関設置条例の一部を改正する条例について 日程第 5  第103号議案 宗像市公共施設修繕等基金条例の一部を改正する条例について 日程第 6  第104号議案 財産の無償譲渡について 日程第 7  第105号議案 宗像市税条例等の一部を改正する条例について 日程第 8  第106号議案 宗像市学童保育所(吉武)の指定管理者の指定について 日程第 9  第107号議案 宗像市観光物産館指定管理者の指定について 日程第 10 第108号議案 宗像市農業委員会の選挙による委員の定数等に関する条例を廃止する条                例について 日程第 11 第109号議案 宗像市農業委員会の委員及び農地利用最適化推進委員の定数に関する条                例の制定について 日程第 12 第110号議案 平成27年度宗像市一般会計補正予算(第3号)について 追加日程   第118号議案 平成27年度宗像市一般会計補正予算(第4号)について 日程第 13 第111号議案 平成27年度宗像市国民健康保険特別会計補正予算(第2号)について 日程第 14 第112号議案 平成27年度宗像市後期高齢者医療特別会計補正予算(第2号)につい
                   て 日程第 15 第113号議案 平成27年度宗像市介護保険特別会計補正予算(第2号)について 日程第 16 第114号議案 平成27年度宗像市・福津市介護認定審査会特別会計補正予算(第2号)                について 日程第 17 第115号議案 平成27年度宗像市渡船事業特別会計補正予算(第2号)について 日程第 18 第116号議案 平成27年度宗像市漁業集落排水処理施設事業特別会計補正予算(第2                号)について 日程第 19 第117号議案 平成27年度宗像市下水道事業会計補正予算(第3号)について 日程第 20 意見書案第9号 「少人数学級の推進などの定数改善」と「義務教育費国庫負担制度2分                の1復元」を求める意見書の提出について 日程第 21 所管事務調査行政視察)報告について(議会運営委員会) 日程第 22 所管事務調査行政視察)報告について(総務常任委員会) 日程第 23 所管事務調査行政視察)報告について(社会常任委員会) 日程第 24 所管事務調査行政視察)報告について(建設産業常任委員会) 日程第 25 発議第  9号 議員派遣について                                     平成27年12月17日 宗像市議会  議長 吉 田 益 美 様                                         議会運営委員会                                    委員長  石 松 和 敏                 所管事務調査行政視察)報告書  本委員会は、下記のとおり行政視察しましたので、宗像市議会会議規則第110条の規定により報告し ます。                       記 1 期 日   平成27年10月26日~10月28日(3日間) 2 視察地及び調査事項 (1)東京都荒川区(10月26日)   ・通年議会について (2)東京都葛飾区(10月27日)   ・議会運営について   ・子ども区議会について (3)神奈川県逗子市(10月28日)   ・議会でのICT利用について 3 調査内容   概要は以下のとおり、資料は議会事務局に保管。 ◆東京都荒川区 【区の概要】  人口:210,175人(平成27年6月1日現在)  面積:10.16km2  議員条例定数:32人(現員数32人)  平成27年度一般会計予算:912億6千万円  荒川区は東京都の東部に位置し、隅田川に育まれた歴史と文化に支えられ発展してきた。現在、人々と 隅田川との豊かな関係を回復するため、スーパー堤防の整備や水辺と調和した環境整備などが進められて いる。また、下町らしい人情味あふれるコミュニティを基盤とした地域力、さらに中小企業が多くモノづ くり産業の集積した地域特性など、区の強みを最大限に活用し、区民一人一人が真に幸福を実感できる街 づくりを目指している。 【調査事項】 〔通年議会について〕  荒川区議会では、議員の質と勉強力を高めることを目的に、平成25年第3回定例会において「通年議 会制」を含む議会基本条例を全議員で提案、全会一致で可決。平成26年度から「通年議会制」を施行し ている。  この条例施行によって、議会の回数は年4回から1回となったが、定例会は、基本的に従来どおり3月、 6月、9月、12月に開催している。  通年議会メリットは、区長の専決処分を避けることで議会存在意義が高まること、また、従来議会閉 会中に委員会を開催するためには、本会議の議決が必要だったが、常に会期中であるため各常任委員会の 委員長の判断で、委員会を開くことができるところにある。  通年議会に対する区民の反応は、特にないが、議会としても市民の反応は、それほど期待してはいなか ったとのことであった。また、議員や職員にかかる負担については、ほとんど変わらないとのことであっ た。 【所感】  ・通年議会ということだが、基本的には本市議会と同様、年4回議会が開催されている。常に会期中な   ので、本会議での手続きに依らず、必要に応じて常任委員会が開催できるところにメリットがあると   感じた。ただ、本市議会においては、通年議会と名を打たなくても常任委員会の調査や勉強会などは、   宗像市議会基本条例(第11条の2)の一部改正によって、対応可能なのではないかと考える。  ・荒川区議会は、通年議会を導入し、1年余りが経過。1年目の会期は354日、2年目の会期は統一   地方選挙の影響もあって、会期は339日に短縮となっていた。通年議会とは言え、議会の開催数は   4回と本市議会と変わらず、休会中に所管事務調査も行われている。大きな違いは、議会招集手続き   の簡素化が図られ、容易に議会が開催できるので、原則的に首長の専決処分がなく、議会のチェック   機能が常に働いている点であった。  ・議会の会期を通年にしたことによって、災害などの緊急時に、迅速な議会対応が可能となる。また、   原則的に専決処分がなくなり、議会の存在意義が増すという点では、議会にとってメリットはあると   考える。逆に、通年議会を導入することによって執行部や事務局の事務負担が増えるのではないかと   懸念する。    本市議会では、必要に応じて本会議での議決を経て、議会閉会中に所管事務調査等を実施しており、   特に通年議会の必要性は感じていない。災害などの緊急時、迅速な議会対応が必要となった場合、ス   ムーズに議会運営ができるように備えておくことが、今後の課題なのではないかと考える。  ・通年議会の施行によって、市長の専決処分が原則不要となり、議会の意思が最大限発揮できるように   なることが、議会側のメリットだと思うが、その他に大きなメリットは見出せない。議会日程が増え   ることで、経費の増加、事務局業務が増加し、事務局体制の充実、見直し等が必要となるのではない   かと思う。また、議会活動の時間が増加することは良い事だが、議員個人のための活動時間が制約を   受けることになるので、バランスのとれた議員活動議会活動ができるのか懸念される。
     ・議長の説明によると、議員は専門職でないとやっていけない、若手議員があまり勉強をせずに選挙の   ことを第一優先に考えており、これではいけないと判断し、通年議会の実現に踏み切ったとのことで   ある。平成26年5月からの実施であるが、確かに首長による専決処分はできなくなったが、本市議   会が実施している閉会中の所管事務調査を頻繁に行えば、実質的には通年議会と大差はないのではな   いかと感じた。 ◆東京都葛飾区 【区の概要】  人口:451,612人(平成27年6月1日現在)  面積:34.84km2  議員条例定数:40人(現員数39人)  平成27年度一般会計予算:1,754億6千万円  葛飾区は、東京都の最も東側にあり、東に江戸川、西に荒川、中央の中川などの大河川に囲まれ、かつ ては湿地や水田の広がる水郷地帯で大正末期までは静かな郊外型農村の面影を留めていた。昭和初期から、 水郷地帯は次第に住宅、工業、商業の都市的形態へと変化し、戦後の混乱期が終わると、都市化、市街化 が急速に進行した。  区の産業は、中小製造工業が中心であり、その技術力の高さには定評がある。一方農業では、小松菜、 ネギの生産が盛んで「葛飾元気野菜」という名で食卓にのぼっている。商業では、人々の生活に密着した 約100の商店街が、まちに活気をもたらしている。  そのほか、映画「男はつらいよ」の舞台として全国的に有名な「柴又帝釈天」や漫画「こちら葛飾区亀 有公園前派出所」の舞台となった「亀有」、花菖蒲の名所として知られる「堀切菖蒲園」、毎年開催される 「葛飾納涼花火大会」などの観光資源が豊富にあり、多くの観光客が訪れているまちであった。 【調査事項】 〔議会運営について〕  葛飾区議会では、議会運営検討事項を以下の4項目に分類し、議会運営に関する改革改善に取り組ん でいた。 1 効率的、効果的な議会運営  ・代表質問一般質問    葛飾区議会では、現在、代表質問一般質問ともに、一括質問方式を採用しているが、二元代表制   の一方の機関である区議会の審議の一層の効率化・活性化を図るとともに、執行機関と審議機関の「チ   ェックアンドバランス」の関係をより深化させるために、対面式による一問一答方式、反問権付与、   パネル使用などが検討されていた。結果として、大項目ごとの個別答弁を執行部側に求め、対面式に   よる一問一答方式については、継続検討、パネル使用は申告制で許可することとなっていた。  ・IT化    膨大な資料、生きた情報の活用、環境負荷の軽減、ペーパレス化による経費削減のために、議会へ   のタブレット等携帯情報端末機の導入を検討中であった。携帯情報端末機を活用する方向で、各委   員会の正副委員長で執行部と調整している。議会としては、携帯情報端末機の貸与を希望していた。  ・速記者    現在、速記者を配置しているが、実態は「音声録音を文章化する際の補完」程度にとどまっており、   その役割は徐々に低下してきている。会議の録音音声をダイレクトに文章変換するシステムを平成   25年度導入したことに伴い、速記者を廃止するとしていた。 2 議会広報、傍聴、情報公開  ・議会広報    議会を身近にし、区民の知る権利と区政への関心を高めるためには、議会だよりの紙面の充実が必   要であると考えていた。具体的には、個々の議員の議案賛否一般質問者個人名、会議の出欠、閉会   中の区民の議会棟見学会小中学生の本会議、委員会見学の記事などを掲載する必要性について協議   中であった。特に夏休みの小中学生の議場見学などの具体的な実施に向けての取り組みを進めていた。  ・傍聴    開かれた議会の推進のために、委員会一般傍聴者用資料を拡大する必要があるとの考えから、議案   審査のある委員会については、傍聴者用資料に議案も加えること、また、請願についても、請願内容   が分かる資料を加えるとなっていた。  ・インターネットを活用した議会の公開    インターネット中継をさらに拡大し、情報公開を進めるため、本会議、総括質疑、予算特別委員会   だけではなく、他の委員会にも拡大することに関しては、引き続き検討するとなっていた。 3 議員の地位  ・報酬等    行政改革のために、議員報酬費用弁償政務活動費のあり方を検討しており、本会議、委員会出   席のための費用弁償の3,000円については廃止となっていたが、それ以外は引き続き検討すると   なっていた。  ・議員定数    平成15年に条例改正し、17年の選挙から適用された現行の議会規模は、条例改正から10年を   経過し、一般選挙3回を経ているなかで、地方分権の拡大や住民意識の変化を考慮し、適正規模のあ   り方について改めて議論しているようだが、引き続き検討するとなっていた。 4 議会棟施設  ・議場での国旗、区旗の掲揚    検討はされていたが、合意には至っておらず実現していない。 〔子ども区議会について〕  葛飾区では、平成9年度から将来の葛飾区を担う子どもたちに、自分たちの住む葛飾区の施策や区議会 の仕組みを学び、議会制民主主義への理解と区政への関心を深めてもらうのと同時に、区議会が、子ども の視点からの要望や意見を聴き取り、区政運営に生かすことを目的として、年に1回のペースで子ども区 議会を開催。  子ども議員の選出方法については、小・中学校からの推薦や「広報かつしか」や区ホームページで公募 して、40人の子ども議員を選出していた。  子ども区議会の具体的な内容は、子ども議員による一般質問委員会質問、決議文の作成、採択までと していた。  事業主体は、広報課、教育委員会指導室で、議会は会場の提供及び、当日の本会議及び委員会の進行補 助を行っており、議員の関わりについては、本会議場での正副議長紹介及び議長の挨拶、その他の議員は 傍聴議員の紹介のみ。  子ども議員が選出されてからのスケジュールは、夏休み中に、事前学習会、委員会の質問テーマの決定、 そして議長、委員長、決議文作成委員の選出を行い、9月中旬までに質問文を作成し、学校長を経由して 提出。10月頃、議長、委員長で事前打ち合わせ。  子ども区議会の日程は、2学期の終業式の日、開会時間については、午後2時と定められていた。  本会議の一般質問は、7人程度。質問には、区長、教育長が答弁し、1時間ほどで休憩。休憩後は各委 員会に分かれ、委員会質問を行うこととなっていた。  委員会では、質問テーマごとに三つの委員会に分かれて、委員会質問を行い、各部長が答弁する。1時 間ほどで委員会は閉会し、本会議場へ戻り、子ども区議会決議の文案を作成。その後、本会議を再開し「子 ども区議会決議文」を朗読、採択された後、子ども区議会は閉会となる。  平成27年度の子ども区議会の予算総額は、327,000円。
    【所感】 〔議会運営について〕  ・意見書の取扱いについては、すべての意見書が可決されることを前提に議会運営がなされているため   に、意見書調整委員会で事前調整が行われていることに驚いた。また、議会広報の拡大については、   閉会中の区民の議会棟見学会の実施、夏休み中の小中学生の本会議、委員会見学などが検討されてお   り、本市議会としても実施を検討するべきだと感じた。  ・議会運営の中で本市議会と大きく違うのは、請願・意見書の取り扱いにおいて、可決が見込めるもの   しか上程しないという仕組みとなっていた点である。それら請願、意見書については、議会運営委員   会での協議ではなく、会派代表者会の協議によるため、少数会派の請願、意見書は、採り上げられ難   いとのことであった。全ての意見書、請願を議会運営委員会で協議している本市議会での取り扱いと   は異なっているため、少々驚きを覚えた。  ・議会運営において、意見書案の取り扱いについては大変驚いた。非公式だが会派の代表が参加する意   見書調整委員会にて、採択が確実なものだけを上程しており、定数が40人と議員数が多いからか、   本市議会の議会運営のあり方とは全く異なり、疑問を感じた。  ・議会運営検討の一環として、一般質問の一問一答方式やパネルの活用など検討しているようだが、質   問時間が1人15分に制限されていることなどが課題となっている。全体として、宗像市議会のほう   が、議員の発言時間やパネル、プロジェクターなどの活用が保障されていると感じた。 〔子ども区議会について〕  ・アンケート集計結果で見ると、「区政に関心がわいた。」95.4%「区議会の活動に関心がわいた。」   が90.7%、「今後も続けた方が良い。」が95.3%、そして、全員が「参加して良かった。」と答え   ている。この数字は自分たちの住むまちの今や将来を考える良い機会となり、市政への関心も深まっ   た事の証であると考える。本市での実施も検討の価値がある。  ・一議員の発議から始まった子ども区議会も19回を数え、小中学生を対象にし、自分たちに身近な葛   飾区の問題を取り上げて、区長をはじめとする執行部の方々が真摯に答弁していた。若者の政治離れ   を防ぐという観点からも有意義な取り組みの一つであると感じた。この子ども区議会で子ども議員が   提案したことが実現、また課題が解決したときは、その事例を議会だよりに掲載することで、子ども   議員たちが達成感や成就感を味わうことができ、より政治に関心を持つのではないかと感じた。  ・子どもたちが区政に関心を深め、政治をもっと身近に感じてもらうことのできる機会を提供すること   は、今後の議会運営の参考となるものと感じている。平成9年より開催されている子ども区議会で、   子どもたち自分たちの考えを議会で質問、提案することで、より良い区政運営が進んでいるものと   感じた。  ・子ども区議会について、平成9年度から毎年実施しており、将来の葛飾区を担う子どもたちに、議会   制民主主義への理解と区政への関心を深めてもらうとともに、子どもの視点から見た区に対する要望   や意見を聴きとり、これからの区政運営の参考としていくという目的は大変すばらしいと感じた。子   ども区議会のビデオを視聴したが、身近なテーマを取り上げ堂々と質問している子どもたちの様子を   見て、大変参考になった。  ・子ども区議会は、選ばれた議員(子ども)の質問準備質問態度など、レベルの高さに驚く。また、   子ども区議会決議については、政策提案していくうえで、忘れてはならない子どもたちの視点として、   参考とするに値するものであった。 ◆神奈川県逗子市 【市の概要】  人口:60,019人(平成27年6月1日現在)  面積:17.28km2  議員条例定数:18人(現員数18人)  平成27年度一般会計予算:182億6千万円  逗子市は、神奈川県南東部、三浦半島の玄関口に位置し、北は横浜市、北西に鎌倉市、南は三浦郡葉山 町、東は横須賀市、西は相模湾に面し、海岸線や三方を山に囲まれ、トンネルで他市町とつながっている。  市名の「逗子」については、弘法大師・空海が、市中央部に位置する延命寺の中に、厨子(ずし)を建 立したことに由来すると言われている。 【調査事項】 〔議会におけるICT活用について〕  平成25年度タブレット型端末機(以下、「端末機」という。)を使用した会議システム導入。 1 目的    議案・議案資料ペーパレス化環境負荷低減事務作業・経費の軽減、会議の効率化を図る。 2 概要    端末機と会議システムを活用し、インターネットを介してクラウド上にアップした議案や議案資料   などのデータを各議員が端末機で、確認、閲覧しながら会議等を進めている。また、全議員に端末機   を貸与し、議員への通知等も当該システムを利用している。 3 使用端末    iPad Air2(64GB) 4 システム    SidebooksCloud(会議システム)    SideBooks(ビューアアプリ) 【所感】  ・本市議会でも殆どの議員が端末機を使っているが、議場への持ち込みなど、いくつか検討事項があっ   た。今回の視察で、議場における端末機の使用状況が確認でき、資料のペーパレス化や急な資料の差   し替えなどが一斉にできるなど、多くのメリットがあるように感じた。しかし、全議員が議場で一斉   に端末機を操作する姿には、少々違和感があると感じた。日々、ICT化が進んでいる今日の現状か   ら考えると、議員が端末機を議場で使用することにメリットがあるかもしれないが、その際は、必要   最低限のモラルを確認しつつ進めるべきだと感じた。  ・端末機などの議会での利活用は、もともとは資料の紙資源削減から始まったと聞く。年間7割程度の   紙資源削減効果があったとのことだった。その他、端末機を活用することによって、一般質問や資料   説明の中での現地、場所、過去の議事録などがすぐに確認できるなどの効果が見られた。本市議会に   おいても端末機の導入により、資料管理、スピーディな情報の伝達などを行っているが、議場での使   用が、議会運営にどのような影響を与えるか、また、どの程度紙資源の削減効果が見込めるかを検証   すべきだと感じた。  ・議員活動において、端末機の活用は、今や必要不可欠なものであり、大いに活用すべきだと考えるが、   本会議中の議場での利用に関しては、その必要性をあまり感じなかったのが正直なところだ。  ・若手市議らの主導で実現した「ペーパレス議会」が全国で注目を集めている。導入効果としては、紙   資料の減少によりコピー使用枚数と料金が半減、議案書や行政計画は全てPDFでの提供となるため、   コピー代や職員の労務費が大幅に軽減されるなど成果が出ている。本市議会においては、市からの貸
      与ではなく、議員個人所有端末機等を使用しており、各種委員会等の会議前には資料等をグーグル   ドライブにアップしていただき大いに活用している。今後は、逗子市のように議案書や行政計画など   がPDFでの提供となると、大変利便性が良くなるのではと期待している。  ・端末機を活用した議会活動については、時代の流れのような気がするが、果たして本会議で必要なの   かは、疑問を感じる。本市議会の場合は、既にパネル、プロジェクター独自の活用があり、議員のス   キルアップによって、質問内容は十分に理解されている。議員の質問は、執行部、議員、市民に分か   りやすく行うことが鉄則であり、そのための努力が常に議員に求められている。                                     平成27年12月17日 宗像市議会  議長 吉 田 益 美 様                                         総務常任委員会                                    委員長  神 谷 建 一                 所管事務調査行政視察)報告書  本委員会は、下記のとおり行政視察しましたので、宗像市議会会議規則第110条の規定により報告し ます。                       記 1 期 日   平成27年11月11日~11月13日(3日間) 2 視察地及び調査事項  (1)兵庫県川西市(11月11日)    ・親元近居助成制度について    ・民間資金等を活用した公共施設の整備、維持管理について  (2)大阪府堺市 (11月12日)    ・世界遺産登録に向けての取り組みについて  (3)京都府八幡市(11月13日)    ・団地再生事業について 3 調査内容   概要は以下のとおり。資料は議会事務局に保管。 ◆兵庫県川西市(人口16.1万人、面積53.44km2[H27.6.1現在]) 【市の概要】   兵庫県の南東部に位置し、東は大阪府池田市と箕面市、西は宝塚市と川辺郡猪名川町、南は伊丹市、  北は大阪府豊能郡能勢町と豊能町に隣接している。恵まれた自然環境と大阪及び阪神臨海方面への交通  至便という好条件に加えて、高度経済成長による人口・産業の大都市集中の影響を受け、大阪経済圏の  住宅都市として急激な都市化が進展した。特に昭和40年頃から中・北部地域を中心に始まった、大規  模住宅団地の開発による人口急増が著しく、平成15年10月には16万人を突破した。   平成27年度一般会計予算:540億270万円 【調査事項】 〔親元近居助成制度について〕 1 制度導入にあたって   住宅都市としての急激な都市化、特に昭和40年頃からの大規模住宅団地の開発(11地区)により  人口が急増し、近年一気に高齢化の現象が現れた。このような状況から、「親元近居助成制度」の検討を  始めた。 2 事業検討の経過について (平成22年度) ・「川西市ニュータウン再生研究会」の立ち上げ   地域をはじめ企業や交通事業者などの各関係団体との協議を進める。 (平成23年度) ・「川西市ふるさと団地再生協議会」の立ち上げ   川西市ニュータウン再生研究会のメンバーに加え、3モデル地域自治会・学識経験者・ハウスメーカー・   交通事業者・地方銀行・兵庫県などの団体で構成。 ・「ふるさと団地の元気創造推進協議会」に加入   大分市をはじめ、郊外型住宅団地を有する自治体及び内閣官房、各省を含む協議会。家賃補助制度など   を協議。 ・「ふるさと団地再生モデル基礎調査」開始   3モデル地域(1地区人口約1万人)の空き家の状況を調査。 (平成24年度) ・基礎調査報告会の実施  3モデル地域における課題の抽出及び取組テーマの検討。地元住民への報告会を行った。 (平成25年度) ・3モデル地域における取組テーマの実施に向けての検討  空き家・空きスペースの活用、地域内交通の実施、防犯・見守り活動 (1)人口動向の把握・分析  ・昭和55年当時、40~44歳だった親世代は変化なく住み続けている。一方、10~14歳だった   子世代(現在40歳代)が20年程度で急激に減少。しかし近年やや回復している。  ・お盆や正月の帰省時期では、子ども連れの人が増えるため、地元の公園で帰省した子ども達が楽しめ   る環境をつくるなど、地域の受け入れ体制を整える。 (2)親子の深層心理を事業に生かす  ・親世代の内心(孫の成長を見守りたい・週末は一緒に過ごしたい・体調が優れないときは、家事を手   伝ってほしい)  ・子世代の内心(3世代食事会は子ども達も楽しそう・元気な時は、少しだけ子ども達をみてくれたら・   親世代も歳を感じるようになってきたなあ・いざというときには、駆けつけられるだろうか) (3)住宅政策としてのねらいを検討  ・親世代と子世代の両者の思いを叶えることが、「ふるさと団地の再生」へと繋がる。  ・持続可能なまちの再生に大切なものは、「地縁」「血縁」「志縁」。  ・様々な「縁」を大切にしたまちづくりを目指して、親元近居助成制度を創設。 3 制度の具体的な内容について (1)登記に要した費用に対し、20万円を上限に助成 (2)助成対象者  ・18歳以下の子どもを有すること。  ・申請者世帯とその親が申請日現在、市内に住民登録をしていること。  ・申請者世帯の親が市内に引き続き10年以上居住していること。  ・申請者とその同居人が市税を滞納していないこと。  ・川西市に定住する意思があること。 (3)助成対象マイホーム  ・戸建て住宅 87.5m2以上
     ・共同住宅及び長屋建て住宅 65m2以上 (4)事業者とのコラボレーション  ・地元の地方銀行との連携で「川西市親元近居住宅ローン」を創設。   子世帯への優遇住宅融資利率、親世帯へのホームセキュリティ優遇商品と特別預金利子など。 (5)自治会加入  ・加入は努力規定とする。8~9割が加入(アンケート調査による)。 (6)親元近居助成制度の実績  (平成25年度)*初年度  ・登記期間/平成25年4月1日~10月31日       (7ヵ月)の間に登記が完了済のもの  ・申込期間/平成25年8月1日~11月29日(4ヵ月)  ・予算/300万円:15件  ・実績/474万9千円:25件   ※国の社会資本交付金を活用  (平成26年度)  ・登記期間/平成25年11月1日~平成26年10月31日       (12ヵ月)の間に登記が完了済のもの  ・申込期間/平成26年5月1日~11月28日(7ヵ月)  ・予算/1,000万円:50件  ・実績/2,308万2千円:119件   ※補正予算を組み、希望者は全世帯認定した(平成25~26年度)。  ・実績119件の内訳   [市内外] 市内(71件)・市外から(48件)   [形態]  戸建て住宅(108件)・マンション等(11件)   [年代]  20代(21件)・30代(70件)・40代(28件)   [その他] 夫の実家(49件)・妻の実家(70件)        新築(98件・82%)・中古(21件・18%)  (平成27年度)  ・登記期間/平成26年11月1日~平成27年8月31日        (10ヵ月)の間に登記が完了済のもの  ・申込期間/平成27年5月1日~9月30日(5ヵ月)  ・予算/2,400万円:120件  ・見込み/2,400万円超:128件 〔民間資金等を活用した公共施設の整備、維持管理について〕 1 川西市におけるPFI手法導入の基本的な考え方   民間事業者のノウハウを最大限に活用し、市民サービスの価値向上と財政負担の削減・平準化を同時  達成することで、市の行政課題を効果的に解決すること。 (1)導入の背景と考え方   市の財政状況は、人口減少社会の到来を背景とした納税対象人口の減少により、市税収入が年々減少  している。一方で、高齢社会の中での社会保障費の増大など、市民ニーズは増加を続けている状況で、  政策的経費に充てることのできる財源は限られている。そこで、今まで以上に効率的、効果的な方法で  市民サービスの価値を高めることができる事業手法として、PFI手法の導入を積極的に検討してきた。 (2)導入にあたって配慮すべき視点  ・市の重点施策の価値向上  ・財政収支計画との整合  ・導入に向けての十分な検討  ・地元企業への配慮を検討  ・サービスの質の確保  ・情報公開 2 PFI事業の実施体制   PFIの導入検討に当たっては、法律、技術及び財務面で様々な専門的知識を必要とする。このため、  専門的知識を有するアドバイザーの助言や関係部局との調整を図りながらPFI導入を進めていく必要  がある。 3 アドバイザー(コンサルタント)の活用   実際のPFI導入に当たっては、各分野にわたる専門的な知識やノウハウが必要となるため、専門的  知識を有するコンサルタントを活用する。 (1)アドバイザーへの依頼業務   「PFI手法導入可能性調査における業務」と「実行段階における業務」とに分かれる。 (2)アドバイザーの選定方針   PFI導入検討で所期の成果を上げるため、導入可能性調査を行う段階でのアドバイザーの選定方法  には、原則、価格のみでの競争入札によるのではなく、実施能力や提案内容を重視したプロポーザル方  式を用いる。 4 PFIの公共施設への導入実績(民間事業者も含む)   平成27年11月11日現在で、次の4つの事業にPFIを導入。 (1)川西市中央北地区PFI事業  ・平成25年 事業契約締結(平成35年3月31日まで)   PFI対象施設=インフラ施設(土地区画整理、上下水、道路) (2)川西市立小学校施設耐震化・大規模改造PFI事業  ・平成25年 事業契約締結(平成33年3月31日まで)   PFI対象施設=学校施設(小学校5校) (3)川西市市民体育館等整備に伴うPFI事業  ・平成26年 事業契約締結(平成48年7月31日まで)   PFI対象施設=社会体育施設(市民体育館・市民運動場) (4)川西市低炭素型複合施設整備に伴うPFI事業  ・平成27年 事業契約締結(平成50年3月31日まで)   PFI対象施設=文化施設・社会福祉施設(公民館・ホール等) 【所 感】 〔親元近居助成制度について〕  ・定住化対策にとどまらず、持続可能なまちづくりとして位置付けたことが、地域のコミュニティづく   り、さらに市全体の施策として成果を上げていると感じた。  ・子世帯の勤務状況(仕事が大阪・神戸圏域であること)などが条件としてあげられるため、事業実施   については十分な状況分析が必要と考える。  ・実績がこの3年で大きく伸びていることから、川西市の好条件を生かした施策といえるのではないか   と感じた。  ・制度を周知するために記事を掲載している川西市の広報紙は、ミニ地域雑誌のような作りで、単なる   市のお知らせや事業の説明だけではなく、テーマ性を持った記事もあり、見ごたえのあるものだった。  ・親世代は近くで孫の成長を見守りたい、子世代は少しでも親と近くに住みたいという、親と子の深層   心理を研究し、親元近居助成制度を団地再生・定住化促進事業に結び付けている。本市が行っている   3年間だけの家賃補助ではなく、制度を利用することでそこから離れたくなくなるような仕組みづく   りが必要とされる中で、大いに参考になった。  ・過去の一般質問所管事務調査の中で、自治会再生や子育て・介護負担の軽減、定住促進のメリット   から、家賃補助よりも二世代同居助成金制度を提案してきた。川西市においては家賃補助制度は定住   に繋がる可能性が低いということで導入する考えがなく、また二世帯住宅のニーズが減少傾向にある   という分析結果によって、戸建て近居の制度を選択したとのことであった。今後は家賃補助制度の見   直しと同居を含んだ近居補助の推進をすべきであると感じた。国土交通省が近居や同居に関する補助
      金の検討をしているようなので動向を注視したい。  ・本市の定住化施策とは、基本的なコンセプトがかなり違うと感じた。住宅政策としてのねらいは、賃   貸住宅に引っ越してくる住民に焦点を当てるのではなく、あくまでも市内に住む親世帯と近居するた   めに住宅を購入した子育て世帯に助成するものであり、制度の理念がしっかりしており、本市におい   ても参考になるのではないかと感じた。  ・親と子の程よい距離感が、親子双方にメリットをもたらしている。市外への人口流出を防ぐというこ   とにも有効である。 〔民間資金等を活用した公共施設の整備、維持管理について〕  ・本市の周辺自治体では、政令市を除くとPFI事業はあまり実績がないが、川西市のような阪神圏で   は当たり前のように実施しており、地域性の特徴もあるのかと思う。今後、本市においても導入が可   能なのか検討する価値はあると考える。  ・民間事業者の資金、技術能力、経営能力を最大限に活用し、質の高い市民サービスの提供が期待でき   るとの説明であった。市民体育館等の公共施設ではPFI導入もありえるのではないかと思うが、学   校・文化施設等の維持管理の委託を行った場合は、市の権限が薄れて行くことで問題が発生しないの   か、導入する場合は十分な検討が必要である。  ・PFIを含め、ネーミングライツや広告料収入もPPP(民間活用)の手法の一つだということを再   認識することができた。市が所有する土地の有効活用、税外収入の確保、公共サービスの充実、利用   者増加策などの視点からも、活用されていない土地や公共施設についてはPPPを推進すべきだとい   うことを今後も地道に訴え、提案しているクラウドファンディングや事業スポンサー制度の進捗の確   認にも繋げていきたい。  ・土地区画整理、上下水、道路等のインフラ施設の維持管理、まちづくりコーディネートなど、様々な   事業でPFIを導入している。特に小学校施設耐震化工事や大規模改修事業等については、5校一括   で発注することにより、価格を抑えている点が参考になった。  ・事業の監視とサービスの質の確保をどう行っていくかが問題であるが、PFIアドバイザーをいかに   活用していくかが大切だと考える。 ◆大阪府堺市(人口84.7万人、面積149.81km2[H27.6.1現在]) 【市の概要】   世界最大級の墳墓である仁徳陵の造営地として古くから開け、商工業の要地として発展した。平成  18年4月に全国で15番目の政令指定都市に移行し、新たなまちづくりを展開している。現在、大阪  府、羽曳野市、藤井寺市と共同で百舌鳥・古市古墳群の世界文化遺産登録を目指して、取り組みを行っ  ている。   平成27年度一般会計予算:3,712億円 【調査事項】 〔世界遺産登録に向けての取り組みについて〕 1 「百舌鳥・古市古墳群」の世界文化遺産としての価値  <百舌鳥古墳群>  大阪府堺市北西部に位置する東西4キロ、南北4キロの範囲に広がる前方後円墳12基、帆立貝形墳  10基、方墳5基、円墳17基など総数44基が残るが、全体の半数が住宅開発等で無くなっている。  <古市古墳群>  大阪府羽曳野市から藤井寺市にかけて所在、東西4キロ、南北4キロの範囲に広がる前方後円墳19基、  帆立貝形墳2基、方墳17基、円墳7基など総数45基が残るが、こちらも半数ほどが失われている。 2 特色   世界最大級の王墓で、世界の多くの専門家から高い評価を獲得しており「市民に誇りを持っていただ  ける歴史遺産」である。また、古墳の形と大きさは政治的身分を表現しており、歴史的な価値も高い。 3 世界文化遺産登録に向けた課題解決について (1)大都市にある歴史遺産をどう守るのか   緩衝地帯の範囲を古墳群全体を囲む地域として、道路・鉄道・河川などの地形地物や用途地域を境界  線として設定。規制内容は、建物の高さ、意匠(色彩など)、屋外広告物など。 (2)陵墓(天皇陵など)を世界遺産登録する必要があるのか   全体の面積の8割を占める陵墓は宮内庁の管轄であり、その宮内庁と文化庁を交えて協議を重ね、「静  安と尊厳」の保持を前提に世界遺産登録することを確認。 4 平成28年の国内推薦に向けて (1)今後取り組むこと  ・推薦書のブラッシュアップ(英文作成を含む)  ・来訪者対策(ソフト・ハード両面)    誘導サイン、説明サインの充実    休憩施設等の設置(特にトイレ)  ・機運醸成 市民 → 府民 → 国民 (2)平成26年に3市議会による「登録推進議員連盟」、翌年に国会議員による「登録を推進する議員連  盟」を、同年6月に市民の会と応援隊を設立し、市民と行政・議員が一体となって登録推進活動を行っ  ている。 【所 感】 ・世界に向けて歴史的価値をいかに発信していくかが課題であり、来訪者には構成資産の価値をいかに説  明し、理解してもらえるかが重要である。 ・世界遺産登録をめざして4年目、古墳群は堺市ではなく宮内庁の管理であるため、登録が遅れていると  聞くが、古墳群周りの施設整備や、環境、歴史資料館など全て観光施設として整っている。本市におい  ても来訪者対策として、早急な交通アクセス整備や施設整備が必要だと思う。 ・世界遺産登録については来訪者対策や景観条例と地域経済とのバランスの難しさを痛感した。堺市では  将来世界遺産登録になった場合に、現在910万人の来訪者が一定程度増加すると見込んで、受け入れ  施設やインフラの一部の整備を進めている。本市の場合、どの程度増加して、どの程度の予算をつけて  投資を行うのか、またそのことでどの程度の税収増加が見込めるのか、事前の分析をしっかりと行う必  要があると感じた。さらに景観条例については、市民の利便性の低下、土地の価格の下落による影響と  前述の税収増加額とを並行して分析した上で議論を行うことが重要だと感じた。 ・堺市文化観光拠点「利晶の杜」については、旧市民病院跡地の有効利用策として、観光拠点事業と定期  借地権事業のプロポーザルを行ってスターバックスを設置し、賃借料収入を得ている。この事例につい  ては、9月議会一般質問の際に行政資産の有効活用策の一つとして事例の紹介をさせていただいた上で  研究すべきだと提案しており、その時の執行部の答弁は厳しい反応だったので、今後さらに論点を整理  して行政資産の有効活用策、収益増加策について訴えていきたい。 ・仁徳天皇陵古墳を始め、多くの資産があり、古代のロマンが残る場所であった。ガイダンス施設は、現  在と場所を変えて拡幅する計画が進んでおり、今後十分に世界遺産登録がなされる可能性があると感じ  た。 ・担当による説明と現地視察後に率直に疑問に感じたことは、なぜ堺市の取り組みが平成27年度の国内  推薦の決定から漏れたのかという点である。百舌鳥古墳群ガイダンス施設が既にあり、地元3市議会に  よる「登録推進議員連盟」設立や、国会議員による「登録を推進する議員連盟」設立など広がりを持っ  た運動を展開しているからである。是非とも平成28年度の国内推薦には決定していただきたいと願う。 ◆京都府八幡市(人口7.3万人、面積24.35km2[H27.6.1現在]) 【市の概要】   京都府の南西部に位置しており、一部の工業地域を除き、良好な農耕地を形成している。石清水八幡  宮の門前町として栄え、交通の要衝、地域経済の中心地として重要な役割を果たしてきた。昭和35年  以降、京都・大阪2大都市間の住宅適地として脚光を浴び、人口の増加と都市化の傾向が顕著となった。   平成27年度一般会計予算:272億円
    調査事項】 〔団地再生事業について〕 1 事業を実施するに至った背景   市西部の男山団地を中心とする地域は、老朽化と高齢化が進んでおり、市は再生と活性化を目指して  いる。平成17年に市民で構成される委員会が設置され「男山地域活性化基本構想」を策定し、それ以  降、団地の再生に取り組んでいる。 2 「だんだんテラス」について (1)団地エリアの商店街の空き店舗を利用した住民の交流スペースとして、平成25年11月にオープ  ンした。 (2)運営は関西大学の大学院生が年中無休で行っている。文部科学省から5年間の助成を受けて実施さ  れており、課題の一つに自主運営のための準備、収益の確保があげられる。学生の研究、実体験の場と  して活用されており、大学の単位取得も可能となっている。 (3)季刊誌発行、朝市、ラジオ体操、持ち寄りバーなどを住民が積極的に企画している。行政は家賃の  一部、光熱費、印刷代、ワークショップ費用などを支出している。家賃については現在の国の助成終了  後は関西大学が負担する予定。 (4)事業開始後は、団地住民の生活に新しい生活リズムが生まれ、住民が自主的に子育てサークル等の  活動を行っている。それまでと比較して、転居よりも入居の数が増えた。 (5)「だんだんテラス」には、まちの公共員が配置されている。まちの公共員とは、半公半民の視点で地  域課題を解決する人材を活用する制度であり、地域おこし協力隊とも類似点がある。「だんだんテラス」  の公共員に応募したのは、それまで学生として関西大学戦略的研究基盤団地再生プロジェクトなどで、  男山団地の再生に関わってきた実績を持っている男性であった。自身も類似する団地育ちであり、また  学生時代から団地再生に関わってきたことで、この地域に興味を強く感じて応募したとのことであった。  収益による継続的な運営を模索しているが、住民が積極的に関わりを持ってもらえるようになるために  機運の醸成にも力を入れている。住民や関係者との協議の中でジェネレーションギャップを感じたり、  話がまとまらずに会議が長くなるなどの課題もある。 【所 感】 ・男山団地の公共員については地域の担い手育成や若者支援の取り組みとして有効であると感じたが、当  市においては既にNPO等へのアウトソーシングの中で20~30歳代の市民に活躍の場を提供してお  り、地域おこし協力隊の活用も検討を進めているところである。それらの取り組みと合わせて団地再生、  自治会再生、離島振興の場面で半公半民、若者の巻き込みについても研究する必要があると感じた。 ・運営主体の大学生については、単位取得や研究、社会体験、論文作成などのメリットがあり、全て建築  系の学生であった。本市においては福岡教育大学と日赤看護大学のそれぞれのカリキュラムに関する部  分で、これらのようなメリットも必要かもしれない。しかし、この「だんだんテラス」は福岡女子大学  との連携も行っており、市外にも自治体と連携することで存在意義を高めたいと考える大学もあるので  はないかと考える。日の里団地再生については、広域的に大学に公募してそのような機会として活用し  てもらうことができるのではないかと考える。今後も関係機関と連携して研究、提案していきたい。 ・「だんだんテラス」と本市の日の里団地内にある「御用聞き」の目的や企画には類似点があると強く感じ  た。全国展開でのノウハウもある「御用聞き」と当市が連携することで大学との連携も加速できるので、  若者の巻き込み力の向上が期待できる。PPPを推進することを今後も訴えたい。 ・「だんだんテラス」は、子育て支援事業などを含む主な取り組みの中で、特に住民が主体となり自立した  運営が行われている。関西大学の大学院生が中心となり365日開設していることで、地域住民が触れ  合える場所として高齢者との交流もできており、本市においても大学と連携し、空き家を活用して学生  に開放することで、同様の取り組みができないか検討していくべきだと考える。 ・地元農家と連携した朝市の運営、朝のラジオ体操、夜の持ち寄りでのバーの開設など多様な活動をして  いる。難しいまちづくりを支え、生かしていくためにはこのような地道な活動が必要だと感じた。 ・男山団地は、本市における日の里団地を何倍にも大型化した規模であり、その再生事業を教示いただい  た。京都府、八幡市、UR都市機構、関西大学の四者が協議を進め、特に関西大学の建築科の学生が実  地研修として交代で常駐し、地域住民と深く関わってきたことが重要であり、本市の団地再生にとって  も示唆を与えるものと感じた。 ・関西大学との連携が事業の成果に結びついているが、団地という閉鎖的な住環境になりがちな住民(特  に高齢者や子ども達)にとっての居場所づくり、コミュニティ交流の形成などに視点をあてての事業展  開が大変参考になった。 ・京都府、八幡市、UR都市機構、関西大学が相互連携したプロジェクトを、若い世代が旗振り役となっ  て進めている。学生や若者をいかに取り込んでいくか、そして高齢者と一緒に話し合い、多くの住民を  巻き込んでいくかが大切である。                                     平成27年12月17日 宗像市議会  議長 吉 田 益 美 様                                         社会常任委員会                                    委員長  植 木 隆 信                 所管事務調査行政視察)報告書  本委員会は、下記のとおり行政視察しましたので、宗像市議会会議規則第110条の規定により報告し ます。                       記 1 期 日   平成27年11月9日~11月11日(3日間) 2 視察地及び調査事項 (1)滋賀県東近江市(11月9日)   ・介護予防・認知症対策の取組みについて (2)愛知県一宮市(11月10日)   ・市民が選ぶ市民活動支援制度について (3)愛知県東海市(11月11日)   ・いきいき元気推進事業について 3 調査内容   概要は以下のとおり。資料は議会事務局に保管。 ◆滋賀県東近江市(人口11.5万人、面積388.37km2[H27.6.1現在]) 【市の概要】  滋賀県の南東部に位置し、京阪神と中京都市圏の中間にあたる。地形は、東西に細くなだらかな丘陵地 が広がっている。鈴鹿山系に源を発する愛知川が市域の中央を琵琶湖まで流れ、日野川とともにその流域 に肥沃な大地が広がり、緑豊かな美しい田園風景を形成している。市の面積は、県の総面積の9.7%を占 める。  平成17年2月に、1市4町(八日市市・永源寺町・五個荘町・愛東町・湖東町)が合併し「東近江市」 が誕生。さらに、平成18年1月には、蒲生町及び能登川町と合併し、新しい「東近江市」となった。  昭和40年以降、名神高速道路八日市IC周辺や工業団地を中心に大規模な製造事業所の立地が進み、 工業都市としても発展しつつある。  平成27年度一般会計予算:492億円
    調査事項】 〔介護予防・認知症対策の取り組みについて〕 1 認知症高齢者見守りネットワーク事業   認知症の人と家族を支える地域づくりのため、認知症支援の専門性と特性を生かして認知症高齢者の  見守りネットワーク体制の構築を行うことを目的とした事業を、地域密着型介護サービス事業所に委託。 (1)事業内容  1)必須事業   ・認知症理解のための研修会、家族会、相談会の開催。    グループワーク、介助方法、介護食試食など。   ・地域住民、地域組織、事業所等によるネットワーク会議の開催。    事業所、地域住民、自治会代表、コミセン、民生委員、ボランティア、郵便局、警察、消防署、商    店等地域の代表が参加。   ・SOSネットワーク体制の整備。  2)任意事業   ・徘徊高齢者早期発見訓練の実施。(大牟田市を参考に)   ・その他必要と認める事業。(地域交流事業等)  3)委託料加算事業   ・認知症カフェの開催。(平成27年度から) (2)市の関わり方  ・ネットワーク会議の初回会議に入る。  ・事業所職員に認知症キャラバン・メイト養成講座の受講を呼びかける。事業所が地域に出向きつなが   ることができるきっかけづくりとなっている。  ・認知症カフェへの取り組みに向けて、事業説明会を実施(既に取り組んでいる事業所からの報告)。 (3)委託料  ・平成27年度事業予算:280万円  ・単年度委託方式   新規:年20万円 継続:年10万円  ・認知症カフェに取り組む場合は、案内チラシ、装飾分として2万円を加算。飲食は参加者負担。 (4)委託の現状  対象事業所26事業所のうち、平成27年度は11事業所に委託。そのうち5事業所が、認知症カフェ  の取り組みを行う。 (5)今後の課題  ・全事業所実施に向けた働きかけ。  ・事業所がこの事業に取り組む場合、営利目的ではないことを地域に理解してもらうこと。 2 認知症サポーターの養成  ・市による4回連続講座を毎年開催。  ・町別懇談会、ふれあいサロン、市内企業、小学校へ講座の開催を啓発。市内1小学校では、年間6回   にわたり認知症高齢者や高齢者に寄り添うことを学ぶ事業を実施。 3 認知症キャラバン・メイトの養成  ・現在149人がメイト登録しており、半数程度が、講座の講師役、徘徊高齢者早期発見訓練のスタッ   フ等として活動している。  ・市から声をかけて、体験しながら継続して活動してもらうよう、きっかけづくりをしている。圏域に   キャラバン・メイトのチームをつくることが目標。 4 早期対応できる体制の推進 (1)認知症初期集中支援チーム  地域包括支援センターは、直営1カ所。6カ所の支所にブランチを設置。  各支所に相談員(非常勤嘱託)を設置。相談員は、地域に出向いて調査を行っている。 (2)認知症地域支援推進員 平成27年度から3人配置 5 権利擁護の推進  被虐待者である高齢者だけでなく、虐待側の家族の支援も含め、課内で連携。 6 介護予防事業  ・基本チェックリスト一斉送付による、二次予防事業対象者把握。  ・通所型介護予防事業「パタカラ教室」   運動器だけでなく、口腔機能、栄養、認知症予防に関する総合的な教室。6カ月間4カ所で実施。約   50人が参加(来年度から、3カ月間6カ所、6カ月間1カ所で実施予定)。  ・二次予防事業に参加しない高リスク者を対象とした訪問   保健師(実働30人)が、2年間で約3,000人訪問。地域に出かけて顔の見える関係づくり。  ・出前講座   保健師、歯科衛生士、栄養士、理学療法士等による講話。  ・いきいき運動教室   「パタカラ教室」の卒業生を中心とした参加者主導の自主グループ。6カ所で開催。  ・自主的な介護予防教室   3カ所で開催。会場費減免、案内作成、保健師・理学療法士による見守り等支援。 【所感】 ・高齢化社会を迎えて介護予防と避けられない認知症対策への取り組みがすでに大きな課題である。東近  江市の面積は本市の3倍以上あり、人口は1.2倍である。このため介護と認知症対策への市民の理解度  は、都市部と農村部では開きがあるようだ。特に都市部では、自治会の加入率が低く、近所との付き合  いも少なく、行政の施策が浸透しにくいようである。行政は助け合える地域づくりの推進事業に27年  度は280万円の委託料を出して事業所に委託しているが、事業所は減少傾向にある。一方、市民向け  の講座や小学生を対象とした講座などが系統的に行われ、認知症対策への理解は着実に進んでいると感  じた。 ・認知症講座の中で小学生に向けた啓発を行っているが、認知症の症状を正しく理解するとともに、高齢  者の不自由な体の事を知るという事はとても大切なことで、しかも一過性の講座ではなく1つの小学校  で年6回開催されているところに意義を感じた。本市でも取り組みの推進を促したい。また、「子どもサ  ポーター養成講座」を通した人を思いやる心の育成は、偏見によるいじめなどの防止にもつながるため  大いに参考になった。  認知症キャラバン・メイトの養成の中で地域密着型事業所に依頼しておられるが、民間事業所が「認知  症カフェ」などを開催した場合、参加者が営利などを想定し、警戒心が生まれる懸念を感じた。有志に  よるNPO法人などに依頼するのが良いのではと思う。  「認知症初期集中支援チーム」を設置し、本年10月からチームによる会議が始まるとの事だが、行方  を見守りたい。  「高齢者虐待防止ネットワーク事業」は障害者の虐待も含め本市でも早急に取り組むことが望まれる。  「介護予防事業と住民主体のフォローアップ活動」の事業では、二次予防事業→「パタカラ運動教室」  →いきいき運動教室と連続した支援体制が整っていた。  2025年問題を控え、本市でも高齢者の医療・介護・予防などの包括的な生活支援の構築が急がれる。  また、団塊の世代の健康意識への取り組みが重要。 ・高齢者の介護予防、その中でも認知症に対する早期対応の体制の取り組みについて大変感銘を受けた。  独居老人が認知症になった場合のその方の権利擁護や成年後見制度の相談についてはまだ体制が整って  いないと感じた。高齢者が認知症になってからでは対応が大変困難だ。本市も認知症予防に対してもっ  と推進していかなければならないと感じた。 ・認知症高齢者見守りネットワーク事業について、徘徊高齢者を把握し対象者を地域に知らせる場合、本  人、家族等、個人情報の取り扱いには特に慎重を要すると感じる。介護予防事業について、在宅介護生  活を支えるための活動拠点となる地域交流スペースの設置については、空き家が想定されている。この  施策は、空き家対策にもなると考える。 ・認知症高齢者見守りネットワーク事業で、事業所がより地域に開かれることで、地域住民が専門家の持  つ知識やノウハウを学ぶ機会が増え、住民の介護予防のきっかけづくりができ、介護する家族の負担軽  減になるなどの効果が期待できる。一方で、事業所にとっては、負担が大きくなるのではないかとも感  じる。認知症サポーターの養成については、サポーターの養成で終わるのではなく、受講者が担い手と  して継続して活動してもらえるよう、市が働きかけをしている点は学ぶべきだ。
     地域包括支援センターは直営1カ所だが、各支所に相談員を配置し、住民や民生委員が相談しやすい体  制をとっていることは参考になる。全体を通して、職員が積極的に地域に出向き、地域住民と関わりを  持つことを大事にしようとしている姿勢が伝わってきた。権利擁護については、高齢者自身のみの権利  擁護にとどまるのではなく、家族を含めた支援が必要であり、担当者の連携が取り易い体制づくりも重  要だと感じた。 ・認知症施策の取り組みについては、助け合える地域づくりの推進が特に重要であり、地域住民への認知  症啓発が必要である。特に小学校に向けた啓発は重要である。認知症対応には、専門的な知識も必要で  あり、認知症キャラバン・メイト養成講座等を広く普及させるべきである。 ◆愛知県一宮市(人口38.6万人、面積113.91km2[H27.6.1現在]) 【市の概要】  愛知県の北西部にあり、名古屋市へ約17km、岐阜市へ約13kmと、ほぼ両市の中間に位置している。 地形は極めて平坦で、市の北東部から南西部にかけて緩やかに傾斜している。  平成17年4月1日に旧尾西市・旧木曽川町と合併し、新生「一宮市」となった。  中部経済圏における重要な交通拠点であり、名神高速道路や中部地方を縦断する東海北陸自動車道が、 名古屋と岐阜を結ぶ幹線道路の国道22号と市内で接続している。また、鉄道も市の中央をJR東海道本 線や名鉄本線が走っており、市中心部では鉄道の大規模な高架化等により市内交通の円滑化を図っている。  こうした地の利を活かした工業団地も整備し、経済基盤の強化や雇用の拡大により、さらなる発展が期 待される。  平成27年度一般会計予算:1,104億5千万円 【調査事項】 〔市民が選ぶ市民活動支援制度について〕 1 制度導入の経緯 (1)一宮市における市民活動支援事業の経緯  平成16年度:市民活動支援センター・市民活動情報サイト開設  平成18年度:市民活動助成金制度運用開始  平成21年度:市民が選ぶ市民活動支援制度運用開始 (2)市民活動支援制度の経緯  1)市民活動助成金制度   市民活動団体にとって活動資金の確保は大きな課題であるとの考えから、平成18年度に創設した。   予算は年100万円であり、交付実績は年6~7団体、支出額の合計は年90万円前後であった。   (制度内容)    ・スタート支援:設立2年以内の団体、補助率100%。上限10万円1回限り補助。    ・ステップアップ支援:補助率70%。上限30万円を2回限り補助。  2)市民が選ぶ市民活動支援制度   平成18年の市長選挙の際、前市長のマニフェストで「市民税の1%を市民活動の財源に」とされて   いた。   また、平成19年6月に実施した市政アンケートで市民活動に関する意識調査を行った結果、「市民   活動に参加したことはない」が全体の73.2%と圧倒的に多く、一宮市の市民活動の実態について   は半数以上の人が「わからない」と回答し、市民活動に対する関心のなさが際立った。   千葉県市川市で既に運用されていたいわゆる「1%支援制度」に近い形であれば、一票を投じること   で容易に市民活動に関わることができ、それまで市民活動に無関心だった層を巻き込むことができる   と判断し、本制度の導入を決定した。 2 制度の概要 (1)支援金を申請できる事業  市民による自主的かつ営利を目的としない社会貢献的な活動を行う団体で、主として一宮市民を対象と  する事業。  対象事業とするか否かについては、有識者、実務経験者等5人で構成される審査会に諮問を行っている。 (2)支援金の対象となる事業費  報償費、旅費、需用費、役務費及び使用料並びに備品費、人件費及び賃借料のうち一定の要件を満たす  もの。ただし、交付申請ができる支援金の額は、申請事業に係る対象経費の額の2/3に相当する金額。 (3)投票することができる市民  投票する年度の1月1日現在で、一宮市の住民基本台帳に記録されている年齢18歳以上の者。 (4)市民1人当たりの支援額  毎年6月1日時点の一宮市の個人市民税額の1%相当額を同日現在の年齢18歳以上の市民の数で除し  て得た額。   H20年度658円、H21年度645円、H22年度587円、   H24年度607円、H25年度606円、H26年度622円、   H27年度631円。   ただし、支援したい団体が複数ある場合は3団体まで選ぶことができ、2団体を選択して投票したと   きは、1人あたりの支援額の1/2が、3団体を選択して投票したときは、1/3がそれぞれの団体に   支援される。 (5)投票の方法及び支援の流れ  窓口(市内13カ所)持参、郵送及びインターネットによる送信のいずれかの方法による。 3 現行制度の課題等  ・投票のしやすさについて   会員数、会員の関係者の数が多い団体の実施する事業は多くの票を獲得しやすく、逆に活動に重要な   意義があると思われるサービスを受ける人数が限られる事業は票の獲得が困難な状況に陥りやすい。  ・対象事業の審査基準について   審査会において実態に応じ柔軟に対応しているが、対象・対象外の線引きに関しては様々な意見があ   る。  ・支援制度への依存   この制度を継続的に利用することで、事業収入などの自主財源を確保する意識が薄れ、補助金依存体   質に陥ってしまう懸念がある。 4 その他  ・この制度を条例化している。「一宮市民が選ぶ市民活動に対する支援に関する条例」  ・支援団体数 (  )内は申請団体数   H20年度67(70)団体、H21年度76(79)団体、   H22年度75(81)団体、H23年度68(73)団体、   H24年度60(67)団体、H25年度68(79)団体、   H26年度事業実施中69団体  ・支援額   H20年度13,721千円、H21年度16,407千円、   H22年度14,783千円、H23年度13,363千円、   H24年度14,089千円、H25年度14,744千円、   H26年度事業実施中  ・投票率   H20年度10.0%、H21年度11.5%、   H22年度11.4%、H23年度10.7%、   H24年度10.3%、H25年度10.6%、   H26年度10.9%  ・制度導入後の市政アンケート(平成25年11月実施)   アンケート結果から、市民には概ね肯定的に受け止められていると判断できる。 【所感】 ・市民が選ぶ市民活動支援制度は、個人市民税の1%を18歳以上の市民の投票数に応じて市民活動団体  に配分するもので、市民の投票率は約10%で推移している。市は、市民の理解を高めるためにパンフ  レットの全戸配布や、今後は新聞広告の活用を検討しているようだが、費用対効果はどうなのか不明で  ある。また、投票が特定団体に集中するなどの心配もあり、今後の課題もあるのではないかと感じる。
     投票者の内訳は、若年者は少なく高齢者(60~70代)が多いのも気になるデータである。ただし、  市民に市民活動団体の情報を知らせるとの面からみれば一定の役割を果たしているのではないか。 ・市政アンケート調査で「市民活動に参加したことはない」が73.2%という数字から一宮市民の市民活  動に対する関心の低さが明らかになり、前市長のマニフェストもあり、この制度が始まったとの事だが、こ  の制度についての市政アンケートの結果は「どちらかといえば良い方法」を含めると40.9%と概ね市  民に支持されているものと思われる。その反面「わからない」・「無回答・その他」を合計すると52.6%  という結果となっているため、市民活動の意識が高まったとは言い難い。  事業費の中で「備品」も含まれている点は評価したい。本市の「人づくりでまちづくり事業補助金」の  「個性豊かなむなかたづくり事業」では備品費が認められていない。事業によっては、備品なくしては  事業が難しいものもある。  事業者自体が寄附金等で集めた1/3の部分においては緩やかな使途も認められるように働きかけたい。  一宮市のようにボランティア団体の視点に立った考え方が大切。  課題は、事業に関係する人の数が多い団体ほどより多くの票を獲得しやすい制度となっているため、市  にとっては有意義なボランティアであっても少数サービスに限られる事業にとっては得票が厳しい傾向  になること。  事業の中でその団体の趣味的なもの、また、自治会、あるいは地域で自主的に行うべきもの等の区別が  はっきりしていないように見受けられる。  長年にわたり補助金を受け取れるとなると、市の委託事業者的性質になるのではと思う。  この投票による事業展開では途中で補助金が受けられなくなった団体のその後の様子が見えない。  以上のような点を踏まえ、本市のボランティア支援事業に生かしていきたい。 ・前市長の公約という縛りの中で市職員が義務的にこの制度の業務をこなしていると感じた。個人市民税  の1%を市民が選ぶとはいえその選択に参加する市民の参加者が非常に少ないため、税金の配分が特定  の団体に偏っている点が非常に気になった。税金の配分は評価の条件をもっと細かく付けて分散する制  度に改善した方がよいと強く感じた。予算が本市の約10倍と大きいので、本市ではこの政策は必要な  いと感じた。 ・投票行動については、「事業団体関係者の票が多い」との分析である。市民活動に無関心な層を巻き込む  のが本来の目的であるならば、助成金支援額決定方法については、単純に得票数で決めるのではなく、  検討の余地があると感じる。 ・市民への周知方法については、支援対象団体紹介冊子の全戸配布や、新聞折り込みなど工夫されている  と感じた。しかし、効果について検証が必要だと思う。  交付申請に際しての相談会の開催や、申請書類や報告書の記入等のサポートを行うことは、不慣れな申  請団体にとっては心強く、審査する側にとっても審査しやすくなると思われるので、有効ではないか。  会員数や関係者の多い団体の実施する事業に多くの票が集まり易い点は問題だ。  支援の期限がないことは、補助金依存体質に陥ってしまう懸念もあり、検討が必要だ。 ・制度導入後のアンケートでは、概ね肯定的に受け止められている。市民活動支援制度の普及のため制  度・団体紹介冊子を全戸配布しており、比較的参加しやすい制度である。投票の主たる手段は、郵送  62%、窓口37%、インターネット1%となっており、ネットでの普及効果は少ない。  均一的な予算配分ではなく、経費が多くかかる事業には多くの資金を集めることが可能であり、団体の  努力により、充実した市民活動が可能になる。  支援の期限がないため、継続的な活動が可能になる反面、支援に頼り、自主財源の確保が手薄になり、  活動団体の自立を妨げる恐れがある。段階的に予算を削減するなどの方法も検討する必要がある。 ◆愛知県東海市(人口11.3万人、面積43.43km2[H27.6.1現在]) 【市の概要】  知多半島の西北端にあり、北は名古屋市、東は大府市、東浦町、南は知多市に接しており、名古屋市の 中心地区まで約15キロメートルに位置している。  昭和44年4月、上野町と横須賀町が合併し、県下23番目の市として誕生した。  臨海部には企業が立ち並ぶ中部圏最大の鉄鋼基地。近年は、伊勢湾岸自動車道(第二東名・名神)、名古 屋港、中部国際空港の整備により陸・海・空の交通の要衝として重要な役割を担う。  平成9年に、高齢社会に対応するため、健康と福祉の活動拠点としての「しあわせ村」をオープン。介 護保険事業は、知多北部の3市1町で広域連合を設立し取り組んでいる。  平成27年度一般会計予算:419億1千万円 【事業概要】 〔いきいき元気推進事業について〕 1 いきいき元気推進事業の始まり  平成20年9月に議員を対象とした講演会で「東海市の男性の平均寿命は78.4歳と愛知県の79.1歳  に比べると低いレベルにある(平成17年)」と市長が聞き、大きなショックを受け、それをきっかけに、  地域社会全体で総合的な視点を以て市民の意識改革や健康づくりに取り組もうと、担当部署だけでなく  市役所全体で「健康づくり・生きがいづくり」を考えることとなった。 2 健康づくりの取り組みの経緯   市役所全体で組織横断的な事業展開を図るため、平成21年7月に企画部署に「いきいき元気推進担  当」を設置、同年9月に職員42人による「いきいき元気推進委員会」を立ち上げ、翌年11月に「健  康・生きがい連携推進プラン」を作成した。このプランの将来像(ビジョン)を「ひとりひとりがいき  いきと笑顔でいられるまち」とし、事業展開の方策として「運動応援」、「食生活応援」、「ふれあい応援」  の3つのプログラムを作成、「身近なところで自然に健康を維持できる環境」の整備を進めることとした。  平成23年度からは、「いきいき元気推進担当」を健康部署に配置し、プランを推進していくための調整  会議(8部局の関係次長級職員)及びワーキンググループ(12課の担当主幹級職員)を配置し、事業  を展開している。 3 具体的な取り組み (1)「運動・食生活応援メニュー」の作成  「健康診査や相談事業などの場面」と「健康づくりを実践していく場面」をつなぐ道具が必要であると  考え、考案したのが健康診査のデータを活用した「運動・食生活応援メニュー」である。  ・応援メニューの判定内容及び実施状況   この応援メニューは、健康診査結果と簡単な問診だけで、その人の健康状態に合わせた運動と食生活   を応援するメニューを提示するもので、健康診査の結果(数値)を誰にでもわかりやすく「見える化」   した仕組みである。わかりやすさの特徴として、運動応援メニューで運動処方をメッツ換算して、一   つ星から四つ星までのマークで表示していること、食生活応援メニューで食事処方を「エネルギー量、   バランスやご飯の量、野菜の量、塩分の量」ごとに四つ葉で表現していることがある。運動習慣のな   い者や生活習慣病・予備軍の者に対し、検査データや生活状況に合わせて一人一人に合った「運動の   強さ、有酸素運動、筋力トレーニング」をメニュー表示する。さらに自分にあった食事も四つ葉メニ   ューで表示して、専門スタッフがアドバイスを提供し、更にはまちの健康社会資源の活用につなげる   ものである。 (2)東海市健康応援ステーションの整備    (平成24年10月1日開始)   市民が主体的に健康づくりに取り組みやすい生活環境を整備  1)運動ステーション(市内5施設)   設備:有酸素運動と筋力トレーニングができる設備やプログラムを用意   知識:運動の効果や運動指導を学んでいる   指導者:自身の運動習慣に合わせた歩き方や筋力トレーニングなどをアドバイス   リスク管理:安全に運動するための体調や緊急時の対応を確認   ・しあわせ村トレーニング室    利用者数推移は、平成22~26年度にかけて3倍になった。   ・ウォーキングコースの整備(市内10カ所)    30秒で判定され、自分にあったウォーキングペースが体感でき、そのままのペースで1周歩ける    ように整備   ・その他    公園案内看板設置、他施設・事業との連携などを実施  2)食生活ステーション(市内35店舗)   食生活を応援する仕組みとして、商工会議所や市内35の飲食店と連携し「いきいき元気メニュー」
      を開発・提供している。官民が連携したまち全体で健康づくりを応援する仕組み。  3)メディカルステーション   (医師会・歯科医師会・薬剤師会との事業協定)   市民の健康づくりを応援するもので、病院、歯科医師、薬局から紹介状をもらい、しあわせ村で判定・   相談を行う。  4)その他   企業(組合)との事業連携:出張「応援メニューの提供」など (3)トマトde健康プロジェクト事業    (平成26年4月10日スタート)  東海市とカゴメ株式会社が連携し、「トマトをとおして市民一人ひとりの健康づくり及び地域の活性化  に資する」プロジェクト事業  ・トマトde健康プロジェクト「10の事業」   地域でのジュース用トマト凜々子(りりこ)の栽培や収穫したトマトの料理教室など。  ・東海市トマトで健康づくり条例   第5条でトマトジュースによる乾杯を推奨している。 【所感】 ・東海市は本市と比べると財政力ははるかに上である。この財政力や環境の割には愛知県での平均寿命が  男女とも下位にあり、これにショックを受けて市長の提案で健康づくりが始まったとのことだ。この事  業を進めるために、庁内全部門から希望職員を選出しプロジェクトとして取り組まれた。特に生活習慣  病対策に取り組まれ、市内の食堂や市役所の食堂、さらに事業所の食堂での健康食の取り組みは、市民  の意識を確実に変えていると感じた。また、運動の面ではジムやプールの料金も安く利用者は多いよう  だ。さらに、公園などには歩行速度のゾーンが各地に設定され、自然と市民が自分に合ったペースでウ  ォーキングができるようになっている。大いに参考にすべき取り組みだと感じた。 ・庁内各部署から自らの意思に基づいて参加した42人の職員で「いきいき元気推進委員会」が設置され  たことは、驚きの一言であった。  健康増進計画の中で、これまでも具体的な目標(小学3年生で永久歯に虫歯のない児童の割合など)を  設け取り組んできていることと、交通系電子マネーmanacaと連携したポイント制度「いきいき元  気推進事業×manaca」の取り組み事例などを勘案すると、東海市の行動力には驚くべきものがあ  り、とても刺激になった。  このmanacaを絡めた事業では市民の健康意識アップばかりでなく、地域活性化にもつながり、本  市でも「商工会」・「観光協会」などの組織と連携を目指すべきではないかと提案したい。  健康づくりのため、食生活改善やトレーニング方法など、一人一人にあった無理のない具体的なメニュ  ーが示されることは、本人にとっては持続させやすいものになる。  各部署の垣根を越えた組織であるため幼児の生活習慣改善から高齢者まで一貫した取り組みを、知恵を  出し合い推進していける強みがこの組織にはあり、大いに参考になった。 ・まず、トマト条例によるトマトジュースの乾杯に驚かされた。健康食の推進については市内の飲食店を  うまく巻き込み、ポイント制を導入して活性化するなど市が工夫を凝らした政策がうまく機能している  と感じた。市民が気軽に楽しく参加し、健康維持を市行政と市民が共にうまくやっていると感じた。本  市も東海市の取り組みを参考に公園を利用した健康推進等を市行政と市民が協働で更に推進していかな  ければならないと感じた。 ・いきいき元気推進事業の始まりは「市は元気であるが、人は元気でない」この指摘からである。この運  動を全市的な取り組みにするため、行政だけでなく、医師会、歯科医師会、薬剤師会との事業協定、ま  た企業との連携、さらに市全体に活動を広げるため、健康応援ステーション(飲食店、運動施設)での  ポイント制の採用など積極的な活動が感じられる。その結果がトレーニング室の利用が過去5年で3倍  になったなど市民の健康意識の向上につながっていると感じた。 ・問題の特定、原因分析をしっかりされていると感じた。  健康・生きがい連携推進プランが、市の他の計画に横串を通すように位置づけられており、課題解決に  向け、担当課だけでなく多くの職員が参加できるように進められている点が、特徴的だと思った。  住民が主体的に、日常の中で楽しみながら継続できるよう、しかけ、支援体制に工夫がなされていると  感じた。 ・事業立ち上げ当初は、委員間で「協奏ノート」を回覧し、基本構想への意見募集などを行い、課の垣根  を越えた連携を図った点は、健康分野だけではなく、都市基盤や生涯スポーツなど様々な分野からの連  携を図るうえで重要である。  しあわせ村トレーニング室の利用者数の推移は、平成22年度から平成26年度にかけて3倍になって  おり、あらゆる機会を通じ、通い始めるきっかけづくりと誰もが気軽に通える施設の必要性を感じた。  平成27年4月から民間事業者との連携によりトマトde健康プロジェクト事業が行われているが、ト  マトで健康づくり条例を制定し、毎月10日をトマトの日と定めている。また、トマトジュースによる  乾杯を奨励している点など、トマトをとおした健康づくりと地域の活性化を徹底している点は見習うべ  きである。ICカード乗車券manacaによる健康ポイント制度は、気軽に誰でも簡単にポイントを  ためることが出来るので、このカードを使用した制度としてポイント付与ができれば、健康ポイント制  度の普及につながると感じた。本市でも検討できればと思う。 【提言】  本事業のうち、「自分にあったペースでウォーキングができるコースの整備」については、簡易に整備で きるものであり、市民も気軽に健康づくりや介護予防に取り組むことができることから、本市においても、 市の公園や遊歩道などに積極的に整備することを、社会常任委員会として提言します。                                     平成27年12月17日 宗像市議会  議長 吉 田 益 美 様                                       建設産業常任委員会                                    委員長  小 島 輝 枝                 所管事務調査行政視察)報告書  本委員会は、下記のとおり行政視察しましたので、宗像市議会会議規則第110条の規定により報告し ます。                       記 1 期 日   平成27年11月10日~11月12日(3日間) 2 視察地及び調査事項  (1)三重県志摩市(11月10日)    ・観光施策について  (2)三重県伊勢市(11月11日)    ・観光施策について  (3)三重県鳥羽市(11月12日)    ・アサリの養殖について 3 調査内容   概要は以下のとおり。資料は議会事務局に保管。 ◆三重県志摩市(人口5万3千人、面積179.63km2[H27.6.1現在]) 【市の概要】
     平成16年10月に志摩郡浜島町・大王町・志摩町・阿児町・磯部町の5町が合併して誕生。県の東南 部に位置し、全域が伊勢志摩国定公園に含まれる。古くから海の幸を都に献上する「御食つ国」として知 られており、温暖な気候や地の利を生かした水産業・農業や観光業を中心に発展。  平成27年度一般会計予算:255億8,587万円 【調査事項】 〔観光施策について〕 1 観光推進体制、連携体制の構築 (1)地域総合力による官・民・市民が一体となった観光推進体制の構築  ・オール志摩観光推進ネットワークの確立 (2)広域連携による誘客  1)インバウンド、関東・関西マーケットなどを対象に戦略的に展開  2)連携体制の継続、連携強化、新規連携によるPR・誘致活動 2 観光協会の強化 (1)観光協会の資源の集中と選択、将来ビジョンの明示、本部-支部間の運営ルールの統一、徹底 (2)観光協会の事業実施、事業会社化の検討  協会主導による事業推進(着地型旅行事業、人材派遣、営業代行など) 3 インバウンド観光の取り組み (1)受け入れ施設との連携について  1)市内受け入れ施設の拡充  ・インバウンド受け入れの提案、勉強会の開催(主に宿泊・観光・飲食施設が対象)  2)ゲスト受け入れフォロー  ・大型団体、インセンティブツアー、視察旅行などのフォローが必要なゲストのアテンド  3)定期情報発信  ・観光事業者(主に会員)へのインバウンド情報発信 (2)商品造成について  1)志摩魅力プラン  ・志摩市の観光、宿泊を目的にした新プランの開発(団体旅行・個人旅行)※食、体験、自然、民泊、   ゴルフ、観光がキーワード  2)広域連携の周遊観光プラン  ・三重県だけではなく、他エリアと組み合わせたコースの造成   ※南紀周遊、関西周遊、伊勢湾周遊、ゴールデンルートなど (3)誘客営業について  1)現地旅行社への企画提案  ・アジアを中心とした現地有力AGT(エージェント)への継続的なセールス  2)国内LO(ランドオペレーター)への企画提案  ・首都圏、関西圏、中部圏を中心としたLOへの継続的なセールス  3)市内事業者との同行セールス  ・事業者セールスのフォロー、AGTによる効果的な誘客を図る  4)各エリア、団体との連携  ・三重県外客をはじめとした各エリア団体との連携  5)商談会・意見交換会等への参加  ・セールス及び情報収集の効率化  6)ファムトリップ等の受け入れ  ・AGT、メディア関係者、ブロガー等による地域魅力の発信、誘客 (4)情報発信について  1)外国人向けのホームページの制作  ・外国語版ホームページの新設、中国語、ハングル、英語での案内  2)国内外への情報発信  ・地域の魅力、ニュース、プランなどの情報発信 (5)その他  1)市内関係機関との連携  ・スポーツコミッション、里海ツーリズム、特産品開発等との連携  2)国内誘客の強化  ・協会事業との連動、商品造成、営業活動、空室情報発信など 4 伊勢志摩サミット開催に向けての観光集客の取り組み (1)外国人観光客おもてなし推進事業補助金   伊勢志摩サミット・東京オリンピックなどを契機とし、市内への外国人観光客の誘致促進を図るため、  多言語化整備やWi‐Fi整備をはじめとした外国人観光客の受け入れ環境整備・誘客活動にかかる費  用の一部を負担(期間:平成27年9月~平成28年3月、上限額:20万円) (2)伊勢志摩サミット市民会議の設立  1)開催地に相応しい環境の整備  2)観光地「志摩」の世界への発信  3)サミット開催を契機とした志摩づくり  4)伊勢志摩サミット、三重県民会議との連携 5 志摩市地域ブランド戦略の取り組み  志摩市の優れた地域資源を志摩市地域ブランドとして認定するために必要な事項を定める。 (1)志摩ブランド認定事業  1)平成13年度三重ブランド認定制度  2)志摩市の特産物「的矢かき」「あわび」「伊勢えび」「真珠」  3)平成15年度「ひじき」  4)平成19年度「あのりふぐ」 (2)志摩市商工会の商品開発  1)平成20年度「あおさ醤油」  2)平成21年度「伊勢志摩真珠クリーム」  3)平成22年度「きんこ焼酎」  4)平成23年度「志摩いつきさば」 【所 感】 ・専属のインバウンド担当者が主導して意思決定できることから、本気度を感じ、今後有効な施策が打て  るであろう。決定権を持ち、コーディネートができる専属の責任者が本市に最も必要である。 ・インバウンド観光に力を入れているが、FIT(個人手配の海外旅行)をターゲットにしているのに、  グループビジネスのみを狙っていることについては疑問を感じた。伊勢と志摩が協力するのであれば、  もう少し違う形でアプローチができるのではないかと思う。 ・入り組んだ海岸線と深い山の景色は素晴らしく、これが観光資源としての自然だと感じた。本市が自然  豊かとは言い難くなった。 ・志摩市地域ブランド認定事業は、生産者と加工、流通、観光業者が連携し、「志摩らしさ」を中心に審査  項目を明確にし、魅力ある商品開発に力が注がれていた。本市も新たな商品開発や6次産業化に努力し  ているところだが、いかに宗像らしい魅力を出していくかが課題だと感じた。 ・「里海創生」、「御食つ国・食/海女」、「テーマパーク」、「スポーツ」、「癒し・温泉」の5つの志摩の魅力、  特徴を明確にしている。観光振興計画で官・民・市民が一体となった推進組織を構築し、市、観光協会、  スポーツコミッション、商工会、旅館、ホテル、観光事業者、市民の役割を明確にし、観光施策に対す  る責任の所在を明確にしている。 ・観光対象をインバウンドで韓国・中国・台湾の関西圏の訪問者に着目をし、観光施策の目的、目標、そ  れに対する緻密で志摩市独自の具体的な計画が立案されている。観光に対して互いが競合するのではな  く、互いの特徴を引き出し連携ができている。市が他県、他市との広域連携、民間の手法を積極的に活
     用できていることが宿泊客数増加、市民力を引き出すことにつながり良い効果を生み出していると考え  る。 ・観光施策の基盤が整い、志摩ブランドと言える食品開発も進んでいる。伊勢志摩サミットが開催される  ことは地方再生の最大のチャンスとなる。こうした大きな行事開催前に観光施策の基盤が整うことの大  切さを十分に感じた。本市も2年後に大きな行事を控えており、その前に本市の特色を最大限に引き出  す環境の整備は急務であると感じた。 ・インバウンド事業を進める上において、観光協会に専属の職員を配置し、具体的な戦略を練りながら展  開している。 ・スポーツ観光については、一般社団法人志摩スポーツコミッションが中心となり、ビーチサッカーやト  ライアスロン大会などの事業を実施している。大会運営においても民泊を取り入れ、地元業者に弁当を  依頼するなどし、単に大会誘致を進めるのではなく、地元に還元できる仕組みをつくることが大切であ  ると再認識できた。 ・インバウンド観光については、行政サイドで取り組む課題だとは思い難く民間ベースで取り組む課題で  はないか。 ・スポーツ観光については、恵まれた景観と道路環境を生かしたサイクリングイベントが行われているこ  とに魅力を感じる。しかし、イベントを生かして地元にお金が落ちる仕組みが工夫されていないように  感じた。全体的に観光事業に対して事業評価がなされていないと思った。恵まれた観光資源や志摩がも  つポテンシャルが十分生かされていないと感じた。 ・観光施策については、風光明媚な自然や海の幸等の観光素材が豊富だからこそかもしれないが、観光施  策にかなりの力を注いでいるのが伝わった。職員体制、近隣自治体との連携体制等参考となる事例が多  くあった。来年5月に開催される伊勢志摩サミットの準備状況を伺い知り、本市も2年後の世界遺産登  録のための準備等を早急に行う必要があると思い知らされた。 ◆三重県伊勢市(人口13万人、面積208.35km2[H27.6.1現在]) 【市の概要】  県の中部に位置し、古くから伊勢神宮の鳥居前町として発展。伊勢志摩国立公園の玄関口にあたり、歴 史・文化遺産や美しい自然に恵まれ、年間800万人を超える人が神宮参拝に訪れる。平成17年11月 に伊勢市・二見町・小俣町・御薗村が合併し、新「伊勢市」が誕生。平成25年の神宮式年遷宮を一つの 大きな節目とし、少子化を「笑子化」へ、高齢化を「幸齢化」へと変え、笑顔とやさしさのあふれる「笑 子・幸齢化」のまちを目指している。  平成27年度一般会計予算:507億4,149万円 【調査事項】 〔観光施策について〕 1 観光振興基本計画の基本方針 (1)新たな地域資源の発掘・開発・磨き上げ (2)負をなくす受け入れ基盤・環境の整備 (3)立場を越えた地域連携の推進 (4)ターゲット別PR戦略と検証可能な取り組み (5)「競争と協働」視点での広域連携の推進 (6)市民地域愛の醸成 2 基本方針に沿って実施する各種事業の目標 (1)入込客数の減少を抑制する (2)来訪者数を経済効果につなげる (3)来訪者に満足を感じていただきリピーターにつなげる 3 観光振興基本計画に基づく組織体制 (1)観光振興課(魅力ある観光地づくりを行う)  1)実態調査、統計分析、計画策定  2)観光地づくり、おもてなし、観光教育  3)観光施設管理  4)受け入れ体制整備  5)交通アクセス、二次交通  6)各種誘客イベントの実施(市内)  7)観光協会関連事業 (2)観光誘客課(情報発信と誘客を行う)  1)伊勢観光情報の発信  2)観光誘客事業の実施  3)スポーツ誘客事業の実施  4)マスコミタイアップ事業  5)各種誘客イベントの実施(市外)  6)観光協会関連事業 4 スポーツ誘客推進事業の取り組み (1)伊勢フットボールヴィレッジを活用した誘客・大会誘致 (2)集客性を意識したスポーツイベントの開催(集大会補助) (3)施設概要  1)倉田山公園野球場  ・昭和38年度完成(平成24年~25年度全面改築工事)  ・総事業費11億1千万円  (国庫補助4億2千万円、合併特例債6億2千万円、一般財源7千万円)  ・観客席10,122席(メイン3,400席、内外野6,722席)  ・グラウンド(内外野全面人工芝:両翼97.5m/センター122m)  ・スコアボード(フルカラーLED)・ナイター照明4基  ・年間のランニングコスト3,090万円  ・使用料収入572万円、広告料収入94万円  2)伊勢フットボールヴィレッジ  ・天然芝Eピッチ(68m×105m)平成16年度完成  ・人工芝C/Dピッチ(68m×105m×2面)平成19年度完成  ・人工芝A/Bピッチ(68m×105m×2面)平成24年度完成  ・総事業費14億8千万円(株式会社赤福が13億円を負担)  ・観客席(Aピッチ)900席  ・年間のランニングコスト2,909万円  ・使用料収入2,857万円、広告料収入300万円 5 インバウンド観光の取り組み (1)「ISE」の知名度を上げる (2)アジア圏からの誘客(広域との連携により実施) (3)ゴールデンルートからの誘導強化 (4)多言語化補助金を拡充、ホームページの利用 【所 感】 ・広域で観光事業に取り組む伊勢志摩観光コンベンション機構への参画により、お互いの観光資源を有効  活用することで、より多くの集客を可能にしていた。また、産業観光部の観光部署を「観光振興課」と  「観光誘客課」に分けることで、業務の整理ができていると感じた。 ・スポーツ観光のターゲットを大学生におくと費用対効果が低いのではないかと思ったが、株式会社赤福  の意向と若い世代のリピートを目的とする戦略であることがわかり納得した。 ・本市のスポーツ観光のネックは宿泊である。グローバルアリーナの平日の宿泊稼働率を上げていくこ  と。また、旅館の安価な均一料金での受け入れも課題だと感じる。今後は、世界遺産登録に向けて観光
     客増を見込み、受け入れ態勢を整える必要がある。 ・観光ボランティアを利用することで、地元の人の考えや感性、伊勢神宮に対する思いなどを理解するこ  とができる。観光客が直接コミュニケーションをとるガイドさんの印象はそのまま、まちの印象となる。  本市の宗像ガイドの育成は重要である。 ・スポーツ施設(伊勢フットボールヴィレッジ、倉田山公園野球場)は、大学生の合宿での活用が多いと  のことであった。スポーツ施設活用のための広報活動も広範囲であり、それによって施設の十分な活用  につながることを実感した。また、地元の宿泊場所、企業との連携によって経済効果を増す役割を果た  しており、スポーツ施設が市の発展に寄与していた。スポーツ施設の健全な運営は、大きな大会だけに  とらわれず、スポーツ施設の活用対象が誰かを的確に判断し、市だけではなく広域、地域、地元企業な  どと連携できる仕組みをつくることが大切であると感じた。 ・観光担当を観光振興課、観光誘客課に分け重点化を図っていた。式年遷宮など古くからお伊勢参りに頼  った観光だけではなく、スポーツ観光、インバウンド観光にも力を入れている。 ・オール人工芝の倉田山公園野球場の充実した施設には圧倒されたが、市単独の運営には負担があると感  じた。地元の大学の利用による年間300日の稼働には驚いた。 ・伊勢神宮に頼るのではなく、様々な観光ターゲットを模索している姿勢から、本市も現状に満足するこ  となく、具体的な戦略を官民一体で取り組む必要性を強く感じた。 ・市営の野球場とサッカー場を視察したが、サッカー場は事業費の大半を赤福の寄附で建設されており参  考になる部分が少なかった。ソフト面では、大会、合宿などに対する補助金制度は検討してみる価値は  あるかもしれない。プロ野球の公式試合が開催できる野球場については、利用状況から見て現実的に市  単独では厳しいと感じた。 ・観光施策を考えた場合、観光資源としての伊勢神宮の大きさを改めて感じた。門前町の形成などを何ら  かの形で考えていくべきだと感じた。 ◆三重県鳥羽市(人口2万人、面積108.03km2[H27.6.1現在]) 【市の概要】  志摩半島の北半分を市域として、東は伊勢湾に臨む。伊勢志摩国立公園地域にあり、4つの有人離島や リアス式海岸の景観とともに、年間を通じて温暖な気候風土に恵まれる。国際観光文化都市として、毎年 多くの人が訪れている。高齢化の進展や産業の低迷など市を取り巻く環境は厳しいが、平成23年より新 たな総合計画をスタートさせ、子育て支援や定住促進による活力あるまちづくりや豊かな資源を生かした 産業振興などに重点的に取り組んでいる。  平成27年度一般会計予算:101億840万円 【調査事項】 [アサリの養殖について] 1 アサリの養殖に至った経緯 (1)鳥羽市浦村はカキの産地であるが大量に排出されるカキ殻に困っていた (2)乾燥させたカキ殻を粉砕して有機石灰肥料として農地に散布した (3)農業用肥料だけでなく海で使用出来るようカキ殻粉末を開発した (4)アサリの増殖に適用できるか試験開始した (5)アサリの稚貝=種苗を集めるところから、アサリを大きく育て収穫するまでを運用開始した 2 アサリの天然種苗と垂下養殖のメカニズム (1)カキ殻粉末(ケアシェル)と砂利を網袋に詰めて干潟に設置する (2)アサリの浮遊幼生が網袋の中に入って着底し、小さい稚貝は網袋の中に潜り込む (3)アサリは網袋の中で食害生物に食べられることなく安全に成長する (4)4カ月程度でアサリの稚貝(約2cm)収穫が可能になる (5)網袋で自然採苗したアサリ種貝として垂下養殖を開始 (6)コンテナにカキ殻粉末(ケアシェル)と砂利を入れ、カキ養殖用筏からつり下げる (7)1年後には4cmを超えるアサリが収穫できる 3 今後の課題 (1)垂下養殖用の高品質二枚貝種苗の安定確保手法の開発 (2)効率的な養殖技術の開発及びシステムの改善 【所 感】 ・青年漁業者のこれからの漁業は、経営、企業の発想を持つ必要があるという言葉が印象に残った。その  言葉を努力と熱意で実践したことには感銘を受けた。アサリは砂地を掘って採取するものという発想を  変え、網袋にケアシェルと砂利を入れ、そこにアサリの稚貝を定着させる。また、筏を利用した垂下養  殖では、稚貝の栄養となるプランクトンが多い海層を選択していた。アサリの養殖が成功したのは、熱  意や発想だけではなく、経営に結びつけるための研究を重ねた結果である。 ・色々な偶然が重なりこの養殖の形になったと聞いたが、長年の試行錯誤があったのだと思う。関係者そ  れぞれが自立して努力し、協力するという形が最も機能すると思う。 ・カキ殻粉末と海中マグネシウムからできているケアシェルは、地域環境にも配慮された安心・安全な「国  産アサリ」の養殖を可能にしている。安全な国産アサリとしてブランド化を進めていくことで、地域経  済の活性化につながることも期待されるので、将来の漁業に大きな可能性があると感じた。「海は畑」と  生き生きと話す若い事業家漁師の活躍に期待したい。 ・漁福(漁業と福祉)という考え方のもとに、カキの稚貝を繁殖させるためのホタテ貝の殻をロープでつ  なぐ仕事を生み出し、障がい者就労支援をしていることも興味深い。漁業の繁栄、市民の協働、循環型  社会の構築という点で好事例であり、本市だけでなく漁業に取り入れることができれば、漁業の発展に  寄与できると感じる。 ・アサリの減少は全国的な問題であり、種苗の確保が一番の課題である。これまで不要なものであったカ  キ殻の再利用は、自然の力を利用した理にかなったものであった。本市では、かぐや方式によるアサリ  の養殖に実験的に取り組んでいるが稚貝の確保が大きな問題であった。今回の方法は本市でも試みる価  値は大いにあると感じた。 ・アサリの天然採苗がどんなものか全く想像がつかなかったが、実際の現場はシンプルで自然の資源を上  手に使う仕組みに感動さえ覚えた。天然採苗は本市でもやれると思った。こらからの漁業は育てる仕組  みをつくっていかないと持続しないと語った、アサリ研究会代表の浅尾氏の言葉が印象的だった。漁業  資源や漁獲物に付加価値を付けて販売していくことに工夫している様子がわかった。 ・アサリ研究会代表の浅尾氏の体験談の中で印象に残る言葉が、「若者が暮らせる浜に戻したい」「日本中  の浜を元気にしたい」であった。全国各地の水産事業関係者の視察を受け入れ、成功例、失敗例を全て  公表し、結果、日本の海が豊かになればと、輝く目で熱く語る彼の話に感銘を受けた。水産業の振興は  もちろんのことであるが、それに関わる人材の育成も必要であると感じた。 このサイトの全ての著作権は宗像市議会が保有し、国内の法律または国際条約で保護されています。 Copyright (C) MUNAKATA CITY ASSEMBLY MINUTES, All rights reserved....